正しいに関する解説

腰痛関連キーワード集

   Home

腰痛に関する用語(シソーラス、類義語)のうち、 正しいに関する情報を示しています。
2007年 09月 12日 17時26分44秒最新情報

スポンサード リンク

メニュータイトル

腰痛
 関連用語検索










正しいに関する検索情報

[ 29] Massie Ikeda:BSE
[引用サイト]  http://square.umin.ac.jp/massie-tmd/bse.html

全頭検査の問題がややこしくてわからない.消費者の安心にとって必要ではないのかという素朴な疑問のお手紙をいただいたので,ここで改めて解説する.全頭検査についても,BSE問題全体と同じように,誰かが一方的に悪いとはっきり白黒をつけられるような問題ではない.
基本的には,”全頭検査は無駄”という,米帝の主張は正しい.科学的裏づけもある.だからといって,米帝のいい加減さ,横暴を許してはならない.我々日本人は全頭検査に対する自国民の誤解を解くため一人一人が努力し,全頭検査を,欧州並みの24ヶ月あるいは30ヶ月齢以上の検査に切り替える必要がある.一方で,米帝の一国主義,独断専行をやめさせる義務もある.
1)全頭検査の誤解は,全部の牛を調べる=BSE牛を全部見つける と思い込むこと:全頭検査をやっても,それをすり抜けるBSE牛が結構いる.検査の感度がまだまだ悪くて,全部の牛を調べても,その中にいるBSE牛を全部見つけることはできない.ちょうど,肺癌を見つけるために,地域住民全員を胸部レントゲン検査しても,早期の肺癌をほとんど見逃してしまうのと同じことである.ちなみに,この欠陥のため,胸部レントゲン検査による肺癌検診は,すたれてしまった.
2)一方,全頭検査と平行して全ての牛に行われる特定危険部位の除去は,全頭検査よりもはるかに効果的.なぜなら感染の危険のある部位を全部除いてしまうのだから.
上記の事実があるので,米帝は,全頭検査は無駄だと言っている.それはそれで正しい.しかし,米帝が国際的犯罪者であることもまた事実である.それは次の理由による.
1)特定危険部位の除去が最も効果的だと主張しながら,自分の国ではそんなことをやっていない.一応,FDAが,お達しを出しているが,努力規定程度のザル規則で,実際にきちんと特定危険部位の除去が行われているかどうかのチェックシステムなどない.(下記注*)
2)肉骨粉の制限も,ひどくいい加減.牛には禁止しているが,いまだに鶏や豚には許可している.実はこれが大問題で,全面的に禁止しないと,牛への流用が起こる.(下記注*)
イラクへの侵略に比べたら,こんな犯罪は朝飯前の国家です.こんな国に全頭検査をやれなんて言っても無理だとわかっているのに,強要するのは賢いやり方ではない.
米国の食品衛生行政システム自体が複雑で,BSEに対して効率的な行政ができなくなっている.例えばFDAの通達は五月雨式で,BSE発生が2003年12月なのに,BSEの追加予防処置へのパブリックコメントを,半年以上もたった2004年7月になって求めたりしている.
注*:米政府は2004年7月9日、BSE(牛海綿状脳症)の追加対策を発表した。脳や脊髄(せきずい)など牛の特定危険部位(SRM)を動物の飼料や人間の食品、化粧品に使用することを禁止するが,米国産牛肉の輸入再開問題の焦点になっている牛の検査体制強化などには触れなかった。追加対策は米農務省や米食品医薬品局(FDA)などが共同発表した。BSEの感染源になり得る特定危険部位について、すべての動物の飼料やペットフードに使用することを禁止する方針を表明した。国民の意見を募ったうえで最終判断するとしており、実施に移すのは来年以降になる見通しだ。
ただ、特定危険部位を含まない肉骨粉を豚や鳥の飼料に使うことは認めており、これらの飼料が牛のえさに混じってBSEに感染する危険が残る。日本側は肉骨粉の使用を全面的に禁止するよう求めており、米側の方針とはなお開きがある。人間の食品や化粧品に関しては、BSE発症の危険が高まる生後30カ月以上の牛の特定危険部位などの使用を14日から禁止する。
このような混乱の一つの原因として,米国では,食品衛生行政に関わる役所の数が多すぎて,指揮系統,役割分担が整理されていないこともあるだろう.ちょっと考えただけでも,BSEに関わる役所として,HHS(Health
Food and Drug Administration(FDA)といった役所名がずらずら挙がってくる.一体,どこのだれがどんな責任を負ってどんなことをやっているのか,役所にいる人間自身もわかっていないではないか.
一方,なぜ日本で全頭検査をやっているかというと,国民の間に1で指摘したような誤解があるからだ.つまり全頭検査をやればBSE牛は全部見つかると思い込んでしまっているから.日本国民は全頭検査で”偽の安心”を買わされていることになる.その値段が,これまでの全頭検査の経費100億円になっている.こういう弱みがあるから,米帝から馬鹿呼ばわりされる.では,この誤解はどうして生まれたか?それは,やはりゼロリスク探求症候群だ.癌恐怖症,検診マニアと言い換えればご理解いただけるだろうか.検診をやっていれば,必ず癌を早期発見できて,永遠の命が得られるという妄想だ.
では,この誤解がなぜ放置されるのか?答えは簡単だ.この誤解の放置が多くの人の利益になっているから.そして,この誤解を解こうとする人々には何の報酬も与えられず,攻撃されるだけだから.
全頭検査への誤解が原因となり,偽の安心を100億円で買った結果,BSEパニックはなくなった.BSEのリスクへの誤解で始まったパニックを,全頭検査=ゼロリスクという誤解を金で買ってパニックを押さえ込んだということだ.せっかくおとなしくなった消費者に対して,実はあんた誤解しているんだ,全頭検査はザルだと誰が好き好んで説明するだろうか.
畜産業者,流通小売業者,役人,研究者,すべて口をつぐんでいる.それは,日本でBSEパニックが起きる前の状況とそっくりだ.全員が説明責任を回避している.でも,私は彼らを責めるつもりはない.正しい説明をすれば,全頭検査至上主義の人々から攻撃されるばかりでなく,自分の商売,役人としての職場,研究が,それぞれ大変な損害を受けることを知っているからだ.”寝た子を起こすな”それが合言葉になっている.
例によって,大変な天邪鬼の私だけが,2001年10月に全頭検査が始まった時から,全頭検査は早く止めて,30-24ヶ月以上に絞り込め,と主張してきた.この主張は拙著でも明らかにしている.言い換えれば,検診で早期癌を見つけることはできないから,それはあきらめて,検診の対象を絞り込み,進行癌を確実に捕まえてそれを治療しようという方針だ.実際,欧州はそうしている.
輸入再開のための条件は,全頭検査などではなく,以上の4点セット.しかし,この4点セットの実現のためには,日本政府も米国政府も,双方の国民を説得するという困難な説明責任を負わなくてはならない.それが嫌なので,話題を,どうでもいい全頭検査に絞ってしまっているのが現状.
このように,米帝に全頭検査を押し付けることは,第一に全頭検査への誤解を放置すること,第二に,より大切な対策から目を背けさせる,という二つの点で間違っています.全頭検査を押し付けて事足れりとして,全頭検査よりもずっと肝腎な上記の4点セットについて全く議論がないのが,日本の恥ずべき現状だ.
全頭検査なんて本当はどうでもいいのに,交渉に際して,日本側は”米帝は全頭検査を呑めないことはわかっている.だから全頭検査を押し付ければ,面倒くさい交渉事をしないで済む.日本国民に対しても,全頭検査は実は無駄でした,なんて言って,大騒ぎされても困る.今は,日本は全頭検査でみんなハッピーなんだから,寝た子を起こすような真似をして,叩かれるなんて馬鹿なこと,誰がやるもんか”と思っています.
一方,米帝側は,”全頭検査なんて,金ばかりかかって,特定危険部位の除去以上の効果がないのだから,絶対にやるもんか.こんなことに金をかける日本人は正気の沙汰とは思えない.このまま,なしくずしで,何とか輸入再開に持ち込みたいが,あまり強引に交渉して,やぶ蛇で,自国内の杜撰な体制を日本側から厳しく指摘されても困る.だから,日本国内での輸入再開への突き上げが育ってくるのを待つ方が得策かもしれない”と思っています.
このように,太平洋の両側で,説明無責任の根競べが起こっているのが現状だ.そして,その説明無責任を支えているのが,日米両国民.
以上,全頭検査についても,BSE問題全体と同じように,誰かが一方的に悪いとはっきり白黒をつけられるような問題ではありません.詳しくはBSE騒動の本質をお読みください.
全頭検査以外にもBSEのことを知りたいという方は,拙著,食のリスクを問いなおす(筑摩書房,¥714)を参考になさってください.


戻る

■  腰痛シソーラス(類義語集)  正しいに関する解説 ■
Copyrightc2006 ■  腰痛大辞典 ■ All Rights Reserved.Copyright

inserted by FC2 system